2026/02/05 23:18
革製品は、よく「経年変化が美しい」と言われます。
もちろん、それも魅力です。
でも、私が革に惹かれた理由は、そこではありませんでした。
触ったときの感触。
手のひらに伝わる、あの独特の温かみ。
私は、そこにこそ革の本当の価値があると思ったのです。
「手触り」に目覚めた原点は、手帳でした
大学時代、新入社員だった頃。
私は、いつも手帳を持ち歩いていました。
予定を書くためだけではなく、
考えを整理し、気持ちを整えるための道具でした。
でも、当時使っていた手帳には、どうしても違和感がありました。
触ると、どこか人工的。
無機質で、冷たい。
今ならわかります。
中に芯材が入り、手触りを“作られていた”のです。
でも当時は、ただ、
「革って、本当はもっとゴツゴツしているものじゃないのか?」
そう感じていました。
この違和感が、今のものづくりの原点です。
エイ革との出会いは、「無理」から始まりました
正直に言います。
最初にエイ革を触ったとき、
「これは無理だ」と思いました。
硬すぎて、穴があかない。
縫い目は曲がる。
思うように形にならない。
何度も諦めかけました。
それでも、やめられなかった。
理由は、単純です。
誰もやりたがらない革だったから。
そして、触った瞬間にわかる、唯一無二の感触があったから。
石でもない。
普通の革でもない。
1300年の歴史を持つ素材。
こんな物語を一緒に持てる革は、他にありません。
「この革と一生付き合ってみたい」
そう思いました。
「美しく変化する革」から「整える道具」へ
昔の私は、経年変化ばかりを追いかけていました。
どうすれば、より美しく育つか。
どうすれば、色艶が増すか。
そればかり考えていました。
でも、ある時、気づいたのです。
本当に大切なのは、
使い続けることで、人が“良い状態”になれるかどうか。
見た目だけではなく、
機能的にも、精神的にも。
今はそこを目指しています。
削りすぎない。残しすぎない。その境界線
最初の頃、私はエイ革をしっかり削っていました。
出っ張りをなくした方が、
使いやすいと思っていたからです。
でも、展示会で気づきました。
売れるのは、削っていないものばかり。
考えてみれば当然でした。
エイ革の魅力は、
あのゴツゴツ、キラキラした表情です。
それを、自分で消していたのです。
では、削らなければいいのか。
それも違います。
削らなさすぎると、
長時間使うと痛くなる。
だから私は、
・粒は残す
・尖りだけ落とす
・表情は消さない
このバランスに行き着きました。
1枚革を巻き、接合部もわからなくする。
見た目だけでなく、触ったときの滑らかさのためです。
この「境界線」を探す作業が、私の仕事です。
この道具を、どんな人に持ってほしいか
私は、この道具を
「自分らしさを持ちたい人」
に使ってほしいと思っています。
調子の良い状態でいることは、
良い決断につながります。
良い決断は、結果を変えます。
結果は、未来を変えます。
このペンや手帳が、
その“きっかけ”になれば嬉しい。
そう思って作っています。
正直に言います。買ってほしくない人もいます
安さだけを求める人。
流行だけを追う人。
ブランド名だけで選ぶ人。
そういう方には、向いていません。
私の商品は、
「理由」で選ぶ人のための道具です。
私のものづくりルール
私には、3つのルールがあります。
・説明できるものしか作らない
・成長を止めない
・自分が納得できないものは出さない
これだけは、絶対に曲げません。
10年後に、こう言われたい
もし10年後、誰かにこう言ってもらえたら、
私は成功だと思います。
「あの人の道具は、信頼できる」
「一生使える」
「誰かに贈りたくなる」
そして何より、
「使うと、気持ちが整う」
そう言われたい。
ロゴではなく、理由で選ぶ道具を
DOUBLE MOONは、
派手なブランドではありません。
でも、
触ればわかる理由があります。
握ればわかる設計があります。
これからも私は、
“気づけばいつも手に取っている道具”を
静かに作り続けます。
